• テキストサイズ

ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第6章 【空を仰ぐ】



 翌朝、クリスは朝仕度を終えると真っ直ぐ大広間に向かった。目的はマクゴナガル先生との進路相談だ。
 今日からもう新しい授業が始まるので、その前に自分の進路について相談したかったのだ。

 大広間の入り口で先生を待つこと10数分。いつもの様にキッチリと髪を結い、つばの広い三角帽子を被ったマクゴナガル先生の姿を見つけると、クリスは急いで駆け寄った。

「お早う御座います、マクゴナガル先生!今、少しだけお時間いただけますか?」
「それは、進路相談と言うことですか?」
「はい!……って、え?どうしてそれを……」

 マクゴナガル先生は額に手を当てると、ふーっと深いため息をついた。

「貴女に限った話ではありません。毎年6年生になると、最低でも誰か1人は必ず現れるからです」
「それじゃあ、その……」
「残念ですがミス・グレイン。『O・W・L』で合格を認められなかった生徒は、その上の『N・E・W・T』の科目を受講することは出来ません。これらは教師の一存ではなく、理事会や魔法省で定められているのです。例外はありません」

 先生の口からハッキリと告げられると、クリスは思ったよりショックが大きくて思わず眩暈がした。
 召喚の杖も戻ってきて、これから新しい1歩を踏み出そうと決心してまだ1ヶ月とちょっとしか経っていないというのに、もう乗り越えられない壁にぶち当たってしまった。

 しかし、ここで諦めるようなら初めから研究職など志してはいない。クリスはキッと顔を上げてマクゴナガル先生を見た。

「それなら先生、公的機関での就職は無理だとしても、私的に研究を進めているところで勉強をするのは可能ですか?先学期もお話ししたとおり、私、将来は召喚術の研究がしたいんです」
「それは……確かに可能ですが、貴女の想像よりも狭き門ですよ?『N・E・W・T』科目を受講できないということは、そのレベルまで独学で己を引き上げる必要があります」
「覚悟はしています」

 もともと授業を受けてテストの点数を取るより、気になることは自分で調べる方が性に合っているのだ。
 マクゴナガル先生は再びため息をついたが、その目の奥は挑戦的に光っていた。

「……分かりました。私の方でも私的な研究を進めている学者を探してみます」
「ありがとう御座います!!」
/ 184ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp