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ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第6章 【空を仰ぐ】


 ダンブルドアの言葉は大広間全体に波紋を呼んだ。皆がガヤガヤ話し始めると、ダンブルドアは1つ咳払いをして注意を向け、少し声を大きくして話を先に進めた。

「よって、これまで『魔法薬学』を担当して下さっていたスネイプ先生は、今学期より『闇の魔術に対する防衛術』を教えてくださる」
「なんだって!!?」

 大広間には大勢の生徒がいるにも拘らず、ハリーの声は誰よりも大きく聞こえた。
 スリザリンのテーブルからスネイプに拍手が贈られたが、ハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーの4人は疑わしげな目でスネイプをにらみ続けていた。

「何があったと思う?」
「分からないけど、何か絶対裏があるね」
「まさか、弱みを握られたとか……」
「無きにしも非ず、だな」

 スネイプが長年、『闇の魔術に対する防衛術』の教師の座を狙っていることは知っていた。だがダンブルドアがそれを拒んでいた事も。それなのに、今になって何故……?
 裏が読めない新たな異動にクリスは思案を巡らせたが、クリスはふと、ある重要なことを思い出した。

「そうだ、よく考えたら誰が『闇の魔術に対する防衛術』の先生になろうが私には関係なかった」
「えっ?何で関係ないの?」
「私の『O・W・L』の結果を忘れたのか?」
「あっ、あぁ~~」

 ロンが納得いったような残念そうな不思議な声を口から漏らした。
 そう、去年は魔法が使えなかった所為で、実技のテストはことごとく落第したのだった。
 もちろん『闇の魔術に対する防衛術』も例外ではない。だからスネイプが『闇の魔術に対する防衛術』の教師をやろうがどうしようが、クリスには関係の無い話しだった。

「と、言うことだ。諸君、健闘を祈る」
「でもさ、考えようによってはチャンスだよね、これって。だってさ『闇の魔術に対する防衛術』の教師が1年以上続いたこと無いじゃん?クィレルなんて途中で死んだし」
「……ハリー?何が言いたいの?」
「僕としては、是非ともこのジンクスをつらぬいて貰いたいね。更に言えば、クィレルに続いてくれることを願うよ」

 やっぱり遅れてきたのにはスネイプと何か関係があったのだろう。ハリーはこれまでにないドス黒い笑みを浮かべながら、宴会が終わるまで教職員テーブルを見つめていた。

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