第4章 【闇払いごっこ】
ネビルは嬉しそうに新品の杖を見せてくれた。
いつも誰かの陰に隠れることの多いネビルにとって、このあいだの戦いは正に人生の分かれ目だったのだろう。良い意味で、自分に自信をつけたみたいだ。
1年生の時、泣きながらペットのヒキガエルを探しにコンパートメントに来た時と比べると、まるで別人である。
小一時間ほど3人で喋っていると、また誰かがコンパートメントの扉をノックした。
現れたのはルーナだった。相変わらず大きなカブのイヤリングをつけ、父親が編集長をしているという『ザ・クィブラー』を片手に持っている。
そしてその瞳は相変わらずボンヤリと空を見つめており、どこか浮世離れしていた。
「こんにちは。あたしも座って良い?」
「もちろんだよ」
「ありがとう」
ルーナはハリーの隣に座ると、当然の様に『ザ・クィブラー』を読み始めた。これが彼女の基本スタイルなのは百も承知なので、誰も突っ込む者はいなかった。
「ねえ、今学期もまたDAの会合をやるの?」
「もう必要ないよ、アンブリッジは居ないんだし」
「あたしはやりたい。あれ、楽しかったもん」
「そうだな、私も遅れた分を取り戻したい」
夏休み中は魔法が禁じられていたから、学校に戻ったら出来るだけ杖を使って感を取り戻したい。それでなくとも去年は魔法が使えず、実践的な魔法が習得できなかったのだ。
机の上での勉強も大事だが、机上の空論で終わっては何の為に猛勉強したのか分からない。クリスは期待を込めて再度ハリーに聞いてみた。
「どうだ、ハリー?」
「う~ん、そうだなぁ……」
「あ、あんたのファンが来たよ」
だしぬけにルーナが扉を指した。すると扉の外から黄色い声と共に、数人の女の子たちが集まっているのが分かった。
やらハリーのファンらしい。おそらく『日刊予言者新聞』の記事を読んだミーハーな女の子たちなのだろう。
扉の向こう側で、誰が最初に声をかけるのかキャーキャー騒いでいる。こういう手合いが一番嫌いなクリスは、嫌悪感丸出しなため息を吐いた。