第4章 【闇払いごっこ】
「なんか……ごめん」
「謝るな、ハリーが悪いわけじゃないだろう」
「でも、流石はハリーだね。ぼくの所にはあんな風に集まって来なかったよ」
「正直、いい迷惑だよ」
ハリーが扉の窓に目をやると、外から一層甲高い声が聞こえてきた。その反応についロックハートの事を思い出してしまい、クリスの眉間のしわが、より一層深くなる。
そのうち集まっていた女の子の中でも1番気の強そうな子が、ノックもせずにガラっとコンパートメントの扉を開けた。
「こんにちは、ハリー。私はロミルダ、ロミルダ・ベインって言うの」
ロミルダは自信たっぷりに、黒くて長い髪をなびかせた。これは直感だが、クリスはこのロミルダという女の子はパンジー・パーキンソンと同じ種類の人間だと思った。
「ねえ、良かったら私たちのコンパートメントに来ない?私たち、貴方の事をもっと知りたいの」
「僕の事を知りたいの?それとも魔法省での出来事を知りたいの?」
「両方よ」
「じゃあ、『日刊予言者新聞』を読みなよ。『ザ・クィブラー』もおすすめだよ」
ハリーの皮肉に、クリスはつい笑ってしまった。まあホグワーツに入学してから、散々好奇の目で見られてきたハリーにすれば、ハッキリ言って飽き飽きなのだろう。
ロミルダは眉を吊り上げ、不愉快そうに「そう、いいわ」と言って去って行った。つられて他の女の子たちも扉の前から居なくなると、クリスは笑い声をあげた。
「ははは!ハリーはシリウスとは大違いだな」
「僕はフェミニストじゃないから」
毅然と言い放つハリーだったが、チョウ・チャンには弱かった記憶がある。まあ、あれは惚れた弱みと言うやつだったのだろう。
同様に、クリスだってルーピン先生にはメチャメチャ弱いので、あえてそれ以上はつっこむ事はしなかった。