第4章 【闇払いごっこ】
それからまた数日が経ち、とうとう新学期を迎えた。
この日の護衛役はルーピン先生とムーディ先生だった。2人は辺りを警戒しながら、全員をテキパキと9と3/4番線の柵を通りぬけさせると、空いているコンパートメントに荷物を押し込んだ。
「それじゃあ、ここでお別れだ。楽しい新学期を送れるよう祈ってるよ」
「分かっているだろうが、敵はどこに潜んでいるかも分からん。用心しろ、怪しいと思ったら近づくな」
「はい、ありがとう御座います。先生方もお気をつけて」
「お願いだから危ない事はしないでね。必ず手紙を送ってちょうだい」
ウィーズリーおばさんは、名残惜しそうにロンとジニーを抱きしめた。クリスも見送りに来てくれた人達と別れの挨拶をして、コンパートメントに乗り込もうとした。
その時、何を思ったのかハリーがすれ違う様に列車から降りた。
「どこに行くんだ、ハリー?」
「ちょっと待ってて」
それだけ言い残し、ハリーは見送る人でごった返すホームへ消えてしまった。ロンとハーマイオニーは監督生として、別の車両に行かなければならなかったので、クリスはひとりでハリーが戻ってくるのを待った。
汽笛が鳴り、間もなく出発する頃になってやっとハリーが戻ってきた。
何をしていたのか訊くと、ウィーズリーおじさんにこの数日間ずっと議論していたドラコの情報を伝えたらしい。
「……で?おじさんは何て言っていたんだ?」
「ロン達と一緒。未成年が『死喰い人』説はあり得ないって」
「未成年どころか、生まれてすぐ『死喰い人』にさせられた人間がここにいるのにな」
「全くだよね」とハリーが盛大なため息とともに座席に座ると、まるで見計らったように列車が動き出した。
それから暫くはハリーと2人きりだったが、間もなくするとネビルがコンパートメントにやって来た。何やら興奮した様子で、頬が赤く染まっている。
「聞いてよ!さっき別のコンパートメントに居たんだけど、みんなして僕の顔を見に来るんだ!」
「魔法省での戦いが『日刊予言者新聞』の記事になったからだよ」
「あの記事を見て、ぼくのおばあちゃんが褒めてくれたんだ!両親に恥じない行動だったって!それだけじゃないよ、新しい杖まで買ってくれたんだよ!!」