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ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第3章 【寂れたダイアゴン横丁】


「分かりました、今度の土曜日にアーサーに連れて行ってもらえるよう相談しましょう」
「やった!!」
「但し、無駄な買い物は一切しない事!い・い・わ・ね!」

 有無を言わさないおばさんの強い口調に負け、子供たちは小さく返事をした。
 それから土曜日まで、ジニーも含め子供たち5人は悪ふざけもせず本当に大人しく過ごした。折角の外出の機会を、御破算にしたくはなかったからだ。

 そしてとうとう土曜日の朝がやってきた。いつものように食卓でクリスが寝ぼけながら紅茶を嗜んでいると、グリンゴッツに努めている長男のビルが、ハリーとクリスへと、ガリオン金貨が詰まった袋を差し出してきた。

「これは?」
「君たちの金庫から先に引き出しておいたんだ。なにしろ最近じゃお金を引き出すのに5時間はかかる」
「ありがとう、ビル」
「助かります」
「ビルは、とっても気がキイて、思いやりがありマス!」

 ビルのティーカップに紅茶を注いでいたフラーが、もう見るからにメロメロになってイチャつき始めた。それを目にしたウィーズリーおばさんが、ベーコンエッグの乗ったお皿をテーブルにドンッとおいて、フンと鼻息荒くそっぽを向いた。
 今、おばさんの機嫌を損ねられたらたまらない。ハリーとクリスは顔を見合わせ、どうかこれが原因で買い物の時間が短縮されないようにと心の中で祈ってしまった。

 朝食を終えると、煙突飛行で漏れ鍋まで向かった。順番にエメラルドグリーンの炎をくぐりぬけると、歯の抜けた店主のトムが、いつもの様にグラスを磨きながら会釈した。
 いつもなら人でにぎわっていたこの店も、みんな外出を恐れて今では閑古鳥が鳴いている。しかし、一番奥のテーブルでグラスを傾けていた2人組を見て、ハリーが喜びの声を上げた。

「シリウス!ハグリッド!!」
「やあ、ハリー!」
「久しぶりだな、みんな。元気そうで何よりだ」
「何で2人がここに?」
「お前ぇさんの護衛役だ。シリウスと俺がいれば、『死喰い人』なんて屁でもねぇ」

 確かに下手な闇払いを10人送り込まれるより、この2人の方がよっぽど信頼できると言うものだ。
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