第22章 【笑い合えるのであらば】
そんな事が分かっても、今更どうしようもなかった。スネイプは消えたのだ、それもヴォルデモートにしてみれば大手柄と共に。
そしてドラコも消えた。クリスの半生と言っても過言ではない相手だ。その相手が、涙を流して消えた。
ならば――やる事は決まっている。
「なあハリー、もう覚悟は決まっているのか?」
「うん……でも君たちを巻き込んで良いのか悩んでる」
「巻き込む、ね……まあいいさ。私は一人でもやるぞ、それなら一緒にやらないか?」
「やるって、何を?」
「とぼけるなよ、ロン。決まってるだろう、ヴォルデモートをぶっ殺しに行くんだ」
* * *
ダンブルドアの葬儀は、翌日行われた。湖にほど近い小高い丘の上に、白い石造りの棺が静かに横たわり、その手前には何百と言う椅子が、1本の通路を挟んで整然と並べられていた。
クリスは葬儀と言うものに参加した記憶が無かった。しかし父様の遺体を見つけたら、同じように美しい景色の場所を用意したいと思った。
そう思えるほど、ダンブルドアの墓は美しかった。
ハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーは横並びになって椅子に座った。隣に立っている参列者の中には勿論『騎士団』のメンバーがいて、その中でルーピン先生と手をつないでいるトンクスを見つけた。
クリスは一瞬、膝の上で組んだ自分の指がピクリと動くのを感じたが、それ以上は何も無かった。
それはきっと、葬儀の雰囲気の所為だろう。
沢山泣いている人は居たが、クリスは何故か泣く事すら出来なかった。ただダンブルドアの柔和な笑顔を思い出し、そっと目を閉じた。