第22章 【笑い合えるのであらば】
それから厳かな音楽が鳴り、黒い喪服を着た魔法使いが追悼の意を唱えたが、クリスの耳には全く入ってこなかった。
こんな肩っ苦しい挨拶など、ダンブルドアなら笑い飛ばしていただろう。なんて言ったって、新学期の挨拶の時はいつも「そーれ、かっこめ!」の一言で済ます人だ。
それを思い出して、クリスは少し笑ってしまった。笑ってから、自分はまだ笑うことが出来るのだと気づいた。
* * *
ダンブルドアの葬儀が終わると、クリス達4人はブナの木の下に集まり、これからの事について話しあった。
ハリーは成人――つまり17歳を迎えるまで、魔法契約で叔母の家に1度は帰らなければならないと言った。
「それじゃあ、旅の始まりはハリーの叔母さんの家からだな」
「それはそれとして、みんな『最初にして最大の試練』を忘れてないかい?」
「最初にして最大の試練?」
「ほらね、やっぱり忘れてる。ビルとフラーの結婚だよ!!」
「あー……完全に忘れてた」
ハリーが間抜けた声を出すと、4人は一斉に笑い出した。
あぁ、私たちはまだ笑い合うことが出来る。
ダンブルドアの言う「愛」とは少し違うかもしれないけれど、私たちの「友情」はそんな簡単には壊れない事がたった今、証明された。
ひとしきり笑うと、ハリーは太陽を背に元気良くこう言った。
「よし!じゃあ行こうか!僕らの笑い合える未来に向かって!!」