第22章 【笑い合えるのであらば】
「――結局僕の推測通り、ダンブルドアを殺すよう命じられたのはマルフォイだった。あいつは『死喰い人』を学校の中に入れるために、壊れていた『姿を隠す飾り棚』を直したんだ」
「何なんだい、それは?」
「学校とボージン・アンド・バークスの店に対になって置いてあった飾り棚だよ。でも直すのに時間がかかって、途中首飾りとか、毒の入った蜂蜜酒とか考えたけど、結果は知っての通りだよ」
それから、ハリーは『死喰い人』が次々にやって来た事、それに紛れてスネイプがやって来た事まで語ると、口を閉ざしてしまった。代わりに、クリスが続きを引き継いだ。
「ドラコが殺せないと分かると『死喰い人』達を押しのけて、スネイプが殺したんだ……ダンブルドアを」
クリスの隣で、何かが破壊される音がした。反射的に目をやると、シリウスが木で出来た小さな棚を殴って、拳と同じ大きさの穴をあけていた。
きっとスネイプに対する怒りは、人一倍強いのだろう。シリウスが怒りに任せて罵倒しようとするのを、ルーピン先生が必死になって止めていた。
「何故黙っているんだ、リーマス!!ダンブルドアが、あんな奴に殺されたんだぞ!!」
「だからって怒鳴って良い理由にはならない、ここには怪我人もいるんだ!」
そのルーピン先生の言葉とほぼ同時に、ウィーズリー夫妻と、少し遅れて婚約者のフラーが医務室に入ってきた。
咄嗟にロンとジニーが両親に抱きつき、恐々と3人をビルの眠るベッドに案内した。
「ああ!ビル!!」
ウィーズリーおばさんは、丸いドングリの様な目から滝の様な涙を流して長兄に近づいた。マダム・ポンフリーが病状を説明していたが、とても両親と婚約者の耳には入っていな様だった。
おばさんはただ涙を流しながら、ビルの傷を優しくなでていた。
マダム・ポンフリーは「気休めにしかならないかもしれないが……」と言って、緑色の軟膏をおばさんの手に渡し、ビルの包帯を解いた。
そこにはかつてのイケメンに想像も絶する傷痕が残されていたが、おばさんはそんな傷が残ったことより、我が子の命の方が大事だと言った。
「どんな顔だって構わないわ、この子が生きてくれさえしたら……でも、もうする結婚するはずだったのに……可哀想なビル……」
「それ、どういう意味デスか!?」
突然、それまで黙っていたフラーが声を張り上げた。