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ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第21章 【あの約束をもう一度】



 ドラコは震える杖先を、ダンブルドアに向けた。しかし、その様子からも分かるように、ドラコにダンブルドアを殺すだけの気概は無いようだった。
 誰にも助けを求められず、震える子ネズミの様なドラコの元に、ある者が満を持して登場した。――スネイプだった。

「おいスネイプ、どうするんだ!?ドラコは殺れないらしいぞ!」
「だからオレが殺ってやるって言ってるんだ!!」
「セブルス……」

 『死喰い人』達の怒鳴り合う声に交じって、ダンブルドアの弱々しい声が聞こえた。そんな声を聞いたことのないクリスは、心臓がドクンと音を立てた。
 嫌な予感が冷や汗となって頬を伝い、クリスは自分に何か出来ないかと必死になって身をよじった。

「待て!ダンブルドアを殺してみろ、後で必ず後悔させてやるぞ!!」
「ガキが!黙ってな!!」

 丸太の様な女が、クリスの頬を平手打ちした。そうしている間にもスネイプは『死喰い人』を押し退け、ダンブルドアに杖を向けた。
 まさか、あのスネイプがダンブルドアを殺す訳がないだろう。一応『騎士団』のメンバーでもあるし、ホグワーツの教師だ。きっと何か策があるに違いない。そう思った次の瞬間――。

「セブルス、頼む……」
「アバダ ケダブラ」

 クリスはその紅い瞳で確かに見た。スネイプの杖から緑色の光が発射され、ダンブルドアの胸を貫くのを。
 その瞬間、クリスの脳裏に2年前の悲劇が蘇り、クリスは自分でも気づかぬ間に叫び声をあげていた。

「あ……あああ……あああああああぁぁぁぁ!!!!!!」

 ダンブルドアの体がゆっくりと、弧を描くように空中を舞い、屋上の防壁を越えて見えなくなった。『死喰い人』の1人が地面に落ちたダンブルドアを確認すると、スネイプの合図と共に屋上から立ち去ろうとした、その時だった。
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