第20章 【束の間の別れ】
時折「今日はマナが乱れている」とか何とか言ってはくれるが、それが本当かどうか実感できたことは1度も無かった。
それでも、クリスは暇を見つけてはフィレンツェの教室に行き、召喚の杖を持って『素精霊』の声を聞く修行をした。
だが1か月経っても、残念ながら特にこれと言った変化は見られなかった。
そんなクリスとは違い、ハリーには運命の時が刻一刻と迫っていた。
ある日の午後、遂にダンブルドアから手紙が来たのだ。これはつまり、ヴォルデモートの『分霊箱』を見つけたから同行せよ、と告げるものだった。
アイツを倒す第一歩だ、そう思うと自然と身体が緊張し、背筋が伸びた。と、同時にドラコの事が気になった。
ダンブルドアは、クリスを連れて行かない代わりにドラコの身の安全を約束してくれた。
その後、ダンブルドアからドラコの話しを聞いたことがなかったが、はたして本当に無事なのだろうか……。クリスは心臓の辺りをギュッと握りしめた。