第18章 【ダンブルドアの過去】
「今までの授業を総合すると、ある程度の予測は立てられるんだ。アイツがホグワーツに固執している事、自分を特別視している事、戦利品を集めるのが好きな事、そして他人を全く信じない事。これらを合わせると――」
「そうか!以前言っていたホグワーツ所縁の品々か!!」
「正解!ヘプジバが所有していたスリザリンのロケットとハッフルパフのカップ、それに間違いない」
それは今までダンブルドアが開示してきた意味不明な記憶たちが、初めて1つに繋がった瞬間だった。
「それじゃあ、残りはレイブンクローとグリフィンドールの品ってこと?」
「レイブンクローは多分間違いないけど、グリフィンドールの線は薄いみたい。ダンブルドア曰く、グリフィンドールの剣は真のグリフィンドール生にしか手に出来ないから、ヴォルデモートが手にするのは無理だっただろうって」
「それじゃあ、最後の1つは……?」
「多分――」
ハリーは一瞬口をつぐみ、ロンの顔を見た。その時のハリーの顔は先ほどの笑みとは打って変わって、苦しそうな表情だった。
それが伝染したように、クリスも心臓がギュッと握りつぶされるような心地がした。
「……ハリー?」
「多分――去年ウィーズリーおじさんを襲った『蛇』だと思うって、ダンブルドアが言ってた」
その声を聞き、クリスはギュッと握りつぶされていた心臓が今度はドクンッと大きく飛び跳ねた。
……あぁ、そうか。ハリーは去年の事も、ロンが毒を飲んだ事も忘れてはいなかったのか。
どんなに他人が「ハリーの責任ではない」と言っても、自分の所為で他人が傷つくという罪悪感はそう簡単に消えるものではない。それはクリスが一番よく分かっていた。
「そうか……まあ、これで『分霊箱』のおおよその見当は付いたが、依然として何処にあるのかは分からないんだろう?」
「それはダンブルドアが今、一生懸命各地を探しているらしいよ。それに3つ目の『分霊箱』が見つかったら――」
「見つかったら?」
「それを破壊するのに、僕を同行させるって約束してくれた」
「なん……だと?」