第18章 【ダンブルドアの過去】
その記憶で分かったこと、それは「ホークラックス」の正体と同時に、ヴォルデモートを完全に殺す術だった。
ホークラックスとは別名『分霊箱』と呼ばれ、人を殺すことで自分の魂を裂き、別の『何か』に封じ込めることによって不死をもたらす禁断の魔法だった。
他人の命と引き換えに、自分を不死身にする……。それだけでも吐き気がするのに、ヴォルデモートはスラグホーン先生に「魂を、魔法で一番強い力を持つ“7つ”に分けることは可能か」と訊ねたというのだ。
それを聞いたクリスは、吐き気を通り越して絶対的な嫌悪を感じた。
「……つまり、ヴォルデモートは7つの『分霊箱』を作ったって事か?」
「ううん、それじゃあ魂が全部で8つになっちゃうから、正しくは6つの『分霊箱』を作ってるはずだってダンブルドアが言ってた。でも、もうその内の2つは破壊されてる」
「ええっ、マジで!!?」
「うん、覚えてる?2年生の時にヴォルデモートの記憶が、日記を利用してジニーを操っていたのを。あの日記こそが1つ目の『分霊箱』だったんだ。そして2つ目はゴーント家の家宝である指輪だ」
ゴーント家と言えば、スリザリンの直系として名高い。そう言えばダンブルドアの最初の授業を受けた時、ハリーはゴーント家の記憶を見たと言っていた。
「ダンブルドアの腕が使い物にならなくなったのは、その指輪を破壊するために相当無茶をしたらしいよ。でも、その甲斐あって『分霊箱』が残り4つになったんだ」
「ちょっと待って、その残り“4つ”はどうやって破壊するの?そもそも『何に』封じ込めてあるかも、『何処に』隠されているかも分からないのに!?」
ハーマイオニーの言うことは尤もだった。いくらヴォルデモートを殺す方法が分かったと言っても、これではまるで雲をつかむような話だ。
しかしその言葉を待っていたとでも言うように、ハリーが一瞬ニッと笑った。