第18章 【ダンブルドアの過去】
それからクリスを含む3人は、ハリーがどんな話しを持って戻ってくるのか、ワクワクしながら帰りを待った。時間が経つにつれ、クリスはもちろん、ロンも、そしてハーマイオニーでさえ待ちきれなくなって、宿題に熱中出来なくなっていた。
そして約1時間後、談話室に残っている生徒が殆ど居なくなると、やっと『太った婦人』の肖像画がパカッと開いて、ハリーが姿を現した。
「ハリー、おかえり」
「うん、ただいま」
もうフェリックス・フェリシスの効果は完全に切れてたのだろう。ハリーの顔は幸福感でいっぱいと言うよりも、どこか緊張感が漂っていた。
同じくそれを見抜いたハーマイオニーが、気を使いながらハリーに優しく話しかけた。
「ねえ、何があったか話してもらっても良い?」
「もちろん構わないよ」
「良かった。やっぱりこういうのは本人の口から聞かないとね」
ロンが明るくそう言うと、ハリーは少し笑った。それから、ハグリッドの小屋で起こった事と、校長室での出来事を話してくれた。
まずハグリッドの小屋に行く途中、幸運にもスラグホーン先生と出会ったとハリーは言った。
そして普通ならば手に入れることの出来ない巨大蜘蛛の猛毒に目を付けた先生は、尤もらしい理由をつけて葬儀に参加し、ハグリッドの目を盗んでアラゴグの猛毒を手に入れたと言う。
お目当ての物が手に入ってご機嫌なスラグホーン先生は、それからハリーと一緒にハグリッドの小屋にお邪魔すると、先生お気に入りの蜂蜜酒で思う存分乾杯をした。
そして先生が十二分に酔っぱらったのを見計らってからハリーが説得をしたらしい。
「なんて言って説得したの?」
「先生は僕の母さんがとても気に入っていたって言ってたから、僕は今でもヴォルデモートが母さんを殺す場面を夢に見るんですって言って、先生の良心に訴えかけた」
「結構エグイ技を使ったな……」
いくら実の母とは言え、故人への情に訴えるのは如何なものかとクリスは思ったが、今は手段を選んでいる時ではない。ハリーがそれで良いと判断したのなら、それ以上つっこむのは野暮である。
そしてその後、記憶を手に入れたハリーは真っ直ぐ校長室に向かい『憂いの篩』で、隠されていた記憶を見たと言った。
そしてその記憶と言うのが、正しくこれまで旅してきた記憶を繋ぐパズルの最後の1ピースであった。