第17章 【姿現しの試験】
「だから何度も言うけど、魔法や魔法薬で解決出来るならわざわざハリーに託さないわよ。いいこと?“ハリーにしかできない”ってダンブルドア先生が仰ったんでしょう?」
「う、うん……」
「なら、ハリーが持っている強みを活かす方法を考えた方が建設的ね」
「僕の強みって、精々飛行術くらいなんだけど……」
しかしその飛行術を活かしたクィディッチの試合で、つい数日前に頭蓋骨骨折をしたばかりである。これはお手上げだとハリー、ロン、クリスの3人はヤケクソになって大笑いをした。
「笑っている場合じゃないわ!これは本気で取り組む必要があるのよ!!」
ハーマイオニーの言うことはもっともだった。しかしその翌日、掲示板に「姿現し」の試験日程が張り出されると、6年生の意識は全てそちらに向けられてしまった。
学年主席のハーマイオニーはもう殆ど「姿現し」を会得していたが、残りの3人はまだ完璧とは言い難かった。勿論クリス達3人だけではない、むしろ殆どの生徒が完璧とは言い難かった。
学校側もそんな生徒達の為にホグズミード村での追加訓練の措置を取っており、クリス達を含め、まだ「姿現し」が完全ではない生徒達はこぞってその追加訓練に申し込みをした。
そんなこんなでバタバタしていて、クリスは1週間ほどドラコから目を離さざるをえなかった。
しかし忍びの地図を見る限り、ドラコは相変わらず8階の『必要の部屋』に籠っているようで、向こうもあまり計画が順調ではないのかと思えた。
順調ではないのは、ドラコだけではなかった。ハリーもまた、スラグホーン先生から記憶を手に入れるのに苦労していた。
ハリーは『魔法薬学』の授業がある度、なんやかんや理由をつけてスラグホーン先生に近寄ろうとしたが、先生の警戒心も強く、授業が終わるとサッと自分の部屋へ逃げ帰っていた。
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