第17章 【姿現しの試験】
ホキーはヘプジバというハッフルパフの末裔が住む屋敷に仕えていたらしい。若きヴォルデモートはそのミス・ヘプジバに目をつけ、先祖代々受け継がれてきたハッフルパフのカップと、スリザリンのロケットを奪う為にヘプジバを殺したと言う。
かび臭いカップとロケットの為に人を殺し、更にその罪を屋敷しもべのホキーに着せて逃亡したと聞いて、クリスは腸が煮えくり返るような思いがした。
それが顔に出ていたのか、ハーマイオニーが心配そうにクリスの肩を叩いた。
「クリス、大丈夫?」
「あぁ、一応は……」
「それで、ダンブルドアの記憶では何を見たの?」
「ダンブルドアが校長になってすぐ、アイツがまたホグワーツを訪れたんだ――」
そしてその時もまた、新しく校長に就任したダンブルドアに向かって『闇の魔術に対する防衛術』の教職を望んだらしい。
しかし、その時には既に『死喰い人』を従えていた事を見抜いたダンブルドアに断られ、それ以降『闇の魔術に対する防衛術』の教師は1年以上続いたことは無い、とハリーは言った。
「うわっ、まさかあのジンクスが『例のあの人』に繋がってたなんて……」
「ジンクスと言うより、最早呪いだな」
「でも困ったことに、僕がスラグホーン先生の記憶を手に入れない限りもう授業はしないってダンブルドアが言ったんだ」
「スラグホーン先生の記憶って、確かホークラックスに関してよね?図書館の本には殆ど記載が無かったし……いったい何なのかしら?」
ハーマイオニーに分からないことが、他の3人に分かるはずがない。ハリー、ロン、クリスの3人はホークラックスについて考えるのは潔く諦め、スラグホーン先生攻略について夜中まで話し合った。
だがダンブルドアでも出来ないのに、易々とスラグホーン先生から記憶を入手する方法なんて思いつく訳がない。ハリーやロンが「真実薬を飲ませる」とか「服従の呪文を使え」とか半ば強引な案を出しても、全てハーマイオニーが「それで解決するなら既にダンブルドア先生がやってます!」とにべもなく一蹴した。