第17章 【姿現しの試験】
ロンとラベンダーが無事(?)破局したことで、ハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーの4人は元の関係に戻り、また以前の様に平穏な日々が続いた。
ただ4人で一緒に居ると、どこからともなく女子のヒソヒソとした陰口が聞こえてくる事があったが、4人は徹底的に無視をして過ごした。そんなある日――
「そう言えばハリー、彼方スラグホーン先生の記憶はどうしたの?」
大広間での昼食時、ハーマイオニーが何気なく放った一言によって、ハリーは食べていたパンをのどに詰まらせた。クリスが気を利かせてカボチャジュースを差し出すと、ハリーはそれを一気に飲み干して大きく息を吐いた。
「しまった……すっかり忘れてた。どうしよう、ダンブルドアとの授業は今日なのに……」
「仕方ないさ、僕が毒を飲んだり頭蓋骨を骨折したり、色々あったんだからさ」
ロンはそう気軽に言っていたが、その日の夜、ハリーがダンブルドアとの授業を終えて談話室に戻ってくると、とてもそんな風には言えない空気がハリーを包み込んでいた。
「何があったんだ、ハリー?」
「いや、スラグホーン先生の記憶の事でダンブルドアを凄く落胆させちゃって……」
「もしかして、授業中止?」
「ううん、いつもみたいに『憂いの篩』で記憶を見たよ」
今日はホグワーツを卒業した後のヴォルデモートの記憶を視てきたらしい。1つはホキーという、老屋敷しもべの記憶で、もう1つはダンブルドア自身の記憶だとハリーは言った。
ホグワーツ卒業後、ヴォルデモートはホグワーツで『闇の魔術に対する防衛術』の教師として教鞭を執ることを望んだが、当時の校長に断られ、その後多くの期待をよそにボージン・アンド・バークスで働き始めたらしい。
「ボージン・アンド・バークスって、あの『ノクターン横丁』にある胡散臭い店か!?」
「うん、そこでヴォルデモートは店の商品を仕入れを任されていたんだって」
「何でそんなところで働こうと思ったのかしら?」
「ヴォルデモートはホグワーツに執着してる。だから母親の形見であるスリザリンのロケットを探すと共に、創設者所縁の品を探していたんだ」
そしてそこから先について、ハリーはホキーという屋敷しもべの記憶について語り始めた。