第16章 【xxx】
しかし医務室を出たは良いが、やるべき事なんて精々ドラコの監視くらいだ。
クリスは忍びの地図を取り出してドラコの名前を探すと、スリザリン寮の談話室にその名前を見つけた。そのすぐ隣にはパンジーやクラッブ、ゴイルの名前もある。
きっと今頃、4人でグリフィンドールが大敗した様子でも語って笑い合っているんだろう。その様子を想像すると、クリスは腹が立つよりも先に、くやしいが寂しさが胸に込み上げてきた。
これでもホグワーツに入学する前は、なんだかんだとクリスも混ざって5人で遊ぶこともあった。
純血の家柄は本当に数が少ないので、自然の成り行きと言えばそれまでなのだが……あの頃は、まさかこんな風に道を違える事になるなんて夢にも思っていなかった。
扉越しに聞こえるロンとハーマイオニーの楽しそうな話し声を聞きながら、クリスは軽く目頭を押さえつつ、深いため息をついた。
翌日、クリスがハーマイオニーと一緒に医務室にハリーを迎えに行くと、ロンも一緒に退院して良いと許可が出たので、久々に4人一緒に朝食の席に着くことが出来た。
しかしそれも一瞬の間で、ロンが大広間にいることが分かると、何処からともなくラベンダーが現れてロンを連れ去って行った。
「……何でロンは別れを切り出さないんだ?」
折角の良い気分がぶち壊されたことに、クリスは若干――いや、かなり苛立っていた。
こうなったらラベンダーには悪いが、是が非でもロンとは別れてもらおう。
しかし良い方法は浮かばない上に、肝心のハーマイオニーは時折ほくそ笑むだけで、自ら介入する気はなさそうだ。
仕方がないから、ここは自分が力づくでも……そう思った時、やっとロンが席に戻ってきた。