第16章 【xxx】
「やあプレイボーイ、ガールフレンドが2人も居ると大変だな?」
「それって嫌味?」
「ああ、女を泣かせる奴は許せない性質でね」
「別に……誰も泣いてないだろ?」
分かっていながら敢えてトボケようとするロンの態度が、クリスの神経に触った。
初めはラベンダーにロンと別れるよう説得するつもりだったが、この男は一発痛い目に合わなければ改心する気はないらしい。
しかし何か良い案はないものか……その時、ふとクリスの脳裏に閃きが走った。
「なあロン、ちょっと良いか?」
「な……なに?」
「そんなに怯えなくとも良いだろう?ちょっと話がある」
そう言って、クリスはロンと一緒に大広間を出た。そして人通りの少ない廊下に連れ出すと、クリスは素早く辺りを見回した。
……よし、誰もいないみたいだ。
これからやる事に多少の抵抗が無い訳ではないが、計画通りに進んでくれるならば安いものだ。
「ロン、悪いが少しかがんでくれ」
「え?こ、こう?」
ロンがクリスと同じ目線まで体を屈めると、クリスは逃げられないようにロンの胸ぐらをつかみ、その首筋に強く吸い付いた。
「……っな!ななななにしてんのクリス!?」
「よし、しっかり痕が付いたな。後はラベンダーのところに行って来い、99%別れられるはずだ。それとも何だ?1つじゃ足りないか?」
口元だけでなく、クリスが眉を吊り上げて哂うと、ロンは怒りたいのか泣きたいのか、耳まで真っ赤にしながら先ほどクリスが唇を付けた辺りに手をやった。
「本っ当に、君ってさあっ……!」
「はは、礼には及ばないぞ」
そう言ってクリスはさっさとハリーとハーマイオニーの待つ大広間に戻って行った。
それから数分も経たない内に、ラベンダーの癇癪をおこした様な喚き声と共に、キツイ平手打ちの音が大広間いっぱいに響いたのは言うまでもない。