第16章 【xxx】
「ハーマイオニー!?ハリーがどうした?試合中に何かあったのか!?」
「どうもこうも無いわ、とにかく医務室に来て!」
医務室と聞いて嫌な予感がしたクリスは、慌てるハーマイオニーと一緒に階段を駆け下りた。どうやらクィディッチの試合中、ハリーの頭にブラッジャーが直撃して意識を失い、担架で運ばれたらしい。
あのハリーがブラッジャーを避けそこなったと言うのは妙だと思ったが、とにかくクリスとハーマイオニーは医務室へ急いだ。
「ハリー!無事か!?」
「グレイン、病室では静かにと何度言ったら分かるのです!?」
いつもの様にマダム・ポンフリーからお小言を貰いつつ医務室へ入ると、ロンの隣のベッドに紅いユニフォームを着た選手たちが集まっていた。
その中にジニーの姿があったので、クリスはジニーから事情を聞いた。
ジニー曰く、どうやらロンの代わりに入ったマクラーゲンというキーパーが、ハリーの頭にブラッジャーを叩き込んだらしい。
何故キーパーがキャプテンであるハリーの頭にブラッジャーを命中させたのか、クリスにはさっぱり理解できなかったが、確かにハリーの頭には痛々しい白い包帯が何重にも巻かれていた。
「それで、怪我はどの程度なんだ?」
「頭蓋骨の骨折ですって、今日1日は絶対安静らしいわ」
「そうか……でも1日で済むんだな。良かった」
ロンの様に、何日も入院しなければならない事態ではないらしい。ホッと息をつくクリスの隣で、ジニーが髪の色と同じくらい顔を真っ赤にして怒りをあらわにしていた。
「良くないわよ、お陰でグリフィンドールは320対60で負けたのよ!あのマクラーゲンとか言う馬鹿、ハッキリ言ってロン以下よ!!」
「おい、聞こえてるぞ」
それまで隣のベッドで身動き一つしていなかったロンが、肩肘をついて上体を起こしジニーを睨んだ。
またこんな事でくだらない兄妹喧嘩をされると困るので、クリスは無言でハーマイオニーの脇をつつき、ロンの傍に行くように視線で指示を出した。
最近の傾向からして、こうしておけばロンの機嫌が良くなるのは十分把握していた。