第14章 【DDD】
夕食の時間、ハリーにスラグホーンを説得できたか聞くと、ハリーは首を横に振った。ハリーがホークラックスの名前を出したとたん、スラグホーン先生は怒ってハリーを教室から締め出したらしい。
「そもそも何なんだろうな、ホークラックスって」
「それが分かれば苦労しないよ」
記憶を改ざんしてまで隠したがる物なのだから、相当後ろめたい物なのだろう。ちょっと気になったクリスは、翌日から勉強のかたわらハーマイオニーと一緒にホークラックスが何か調べる事にした。
ヴォルデモートに関連しているのだから、きっと闇の魔術に違いないと思い、マクゴナガル先生に頼んで閲覧禁止の棚まで調べた。だが、唯一見つかったのは「魔法の中で最も邪悪なる発明なり」という一文だけだった。
「それ以外何の記載も無いの!一切何も!!」
図書館からの帰り道、ハーマイオニーは頭から湯気が出るんじゃないかと言うほどカッカしていた。彼女が最も信頼している図書館から裏切られたことに、ショックを隠しきれないでいる。
クリスもこの1週間何の成果も得られなかったことにガッカリしたが、それよりも今は別のことのほうが気になっていた。
「ハーマイオニー、明日の心配は無いのか?」
「明日って、『姿現し』の訓練のこと?」
「それ以外にないだろう」
今や6年生の全体はその話題でもちきりだった。
土曜日の朝、訓練を受けるために大広間に行くと、全てのテーブルが片付けられ、各寮の寮監が揃っていた。そしてその真ん中に、魔法省から派遣されたと見られる指導官が立っていた。
「えー、皆さんお早うございます。私はウィルキー・トワイクロスと申します」
指導官であるトワイクロスは小柄で、風が吹いたら飛ばされそうなくらい細かった。いったいどんな訓練をするのか、皆がトワイクロスの声に耳を傾けていた。
「これから全12回、私が『姿現し』の指導をします。皆さん知っていると思いますがホグワーツには――」
「マルフォイ!おしゃべりを止めなさい!!」
マクゴナガル先生の叱咤に、全員がドラコの方を見た。ドラコは悔しそうに顔を歪め、隣に居たクラッブと少し距離を空けた。
「えー……ホグワーツには『姿現し』が出来ないように魔法がかかっていますが、この時間に限りダンブルドア校長がその封印を解いています。しかるに……」