第14章 【DDD】
それを見て、クリスは少し心躍った。
もちろんこの掲示を喜んだのはクリスだけではなく、同級生全員が期待に胸を膨らませていた。
そんな中、ハリーだけ晴れない表情を浮かべていた。
「どうした、ハリー?」
「ん、ああ。さっきダンブルドアからの手紙が着てさ、明日の夜にまた個人授業があるんだ」
「何か不満なのか?」
「不満って言うか……あのさ、スネイプとマルフォイのこと、ダンブルドアに言うべきだと思う?」
「もちろん」
クリスが当然のように答えると、ハリーは自信がなさそうにため息をついた。
「でも、信じてもらえるかな?」
* * *
次の日、ハリーの不安は的中こそしなかったが、かと言って満足のいく答えも貰えなかったようだった。
ダンブルドアはスネイプとマルフォイの話を聞くと「全て理解し、これと言って重要な事ではない」とだけ言って、それ以上の追求を許さなかったそうだ。
それと、今回もまた「憂いの篩」を使ってヴォルデモートの過去を垣間見たらしい。1つはゴーント家の家宝である指輪を持ち去った時の記憶、そしてもう1つはなんと――
「スラグホーン先生の記憶?」
「うん」
ハリーは「憂いの篩」で見た、若き日のスラグホーン先生の記憶について語った。
学生だった頃のヴォルデモートはその才能故、スラグホーン先生のお気に入りとして「スラグ・クラブ」に入っていたらしい。そしてそこでヴォルデモートはスラグホーン先生に『ホークラックス』について尋ねたというのだ。
「ホークラックス……聞いたこと無いな」
「やっぱりね、ハーマイオニーも同じこと言ってた」
「それで?それからどうなったんだ?」
「突然白い霧に包まれて、スラグホーン先生の不自然な声が頭に響いてきた。ダンブルドアが言うには、無理やり記憶を改ざんした結果らしいよ」
記憶の改ざん、そんな事もできるのか。
クリスが半ば感心していると、ハリーが肩を落とし憂鬱そうに言った。