第14章 【DDD】
残念なクリスマス休暇を終えホグワーツに戻ると、ハリーとクリスは早速ルーピン先生宅で話した内容をハーマイオニーにも教えた。
予想していた事だが、彼女の見解はルーピン先生とほぼ同様だった。ダンブルドアが信用している以上、スネイプを疑う余地は無いとハーマイオニーは言った。
「でも、これでマルフォイが何か企んでいるのは確かになったでしょ?」
「ええそうね、それは疑いようはないわね。でも――」
「はぁ……もういいよ」
自分の説を否定されたハリーは、これ以上の話し合いを無駄と思ったのか談話室を出て行った。それと入れ替わるように、ロンが談話室に入ってきた。珍しくラベンダーが一緒ではない。
一瞬、3人の目が合った。が、それ以上何かが起こる事もなくハーマイオニーは無言で女子寮への階段を上っていった。
彼女の気持ちが分からないわけではないが、いったいいつまでこんな関係が続くのだろう。クリスは内心イライラしていた。
そもそも何故こんな事になったのか……ハーマイオニーがクラムとキスしたのが悪かったのか、ハリーがクィディッチの試合の為にハーマイオニーの善意を悪用したのが悪かったのか、それともロンがあてつけにラベンダーと付き合ったの悪かったのか。
そこまで考えた時、クリスはあることに気づいた。――ひょっとしなくとも、私は何も悪い事してないんじゃないか?
そう思うと、途端に悟りが開けた。あえて言い方を変えるならば、全てがどうでも良くなった。
自分は何も悪くない、3人のことは3人に任せて自分の事だけに集中しよう。そう思ったクリスは早速図書館へ行って、好きな本を山ほど借りる事にした。
久々に「人生に役に立たなさそうな本」を借りて、良い気分で談話室に戻ってくると、掲示板の前に人だかりが出来ていた。
【「姿現し」特別訓練コース募集のお知らせ】
今年の8月31日までに17歳になる者を対象に、「姿現し」の特別訓練コースを開講する。
最初の練習は、来週の土曜日10時より大広間で行われる。全部で計12回を予定。
その他質問があれば各寮監まで申し出られたし。
――以上――