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ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第13章 【クソったれクリスマス】


 シリウスがハリー、ロン、クリスの腕を掴むと、無理やり「姿くらまし」をしてその場から去った。
 細いパイプの中を無理やり通るような不快感と共に、クリス達は『隠れ穴』の玄関に戻っていた。
 クリスはシリウスに掴みかかった。

「なんで無理やり帰したんだ、シリウス!先生の家に女の人が――」
「リーマスのプライベートだ。君が口を出す事じゃない」
「でも……だって……」

 クリスの目に、見る見るうちに涙が溢れてきた。
 あの先生に女の影があるとは思わなかった。それに今夜はクリスマスだ、こんな惨めなクリスマスがあっていいのだろうか。
 必死に唇を咬み、涙をこらえるクリスを、シリウスは優しく抱きしめようとした。だが、その腕をクリスは拒んだ。

「もう良い、寝る。お休み」

 それだけ言い残すと、クリスは階段を上って用意されたベッドに入り、静かに涙で枕を濡らした。

 翌朝、最悪の気分で目を覚ましたクリスの耳に、ウィーズリーおばさんの泣き声が聞こえてきた。慌てて支度をすませて1階に下りていくと、リビングにパーシーの姿があった。

「ああ、パーシー!長旅は疲れたでしょう?座って、今ローストビーフを切るわ。あなた大好物だったでしょう!?」

 おばさんの泣き声は悲しみではなく、喜びのものだったらしい。ホッとしたのもつかの間、クリスはリビングを取り巻く不気味な緊張感に気づいた。
 パーシーは固い笑顔のまま座ろうとしないし、反対にテーブルに座っているウィーズリー家の面々は、誰一人としてパーシーの帰宅を喜んでいない。
 雰囲気に気圧されていると、パーシーが階段付近で佇んでいるクリスに気づいた。

「やあクリス、メリークリスマス。実は君に良い話を持ってきたんだ」
「良い話?」
「ああ、君の進路についてだ。取りあえず座ってくれ」

 クリスは言われたとおり空いている席に座ったが、その間1度もパーシーから目を離さなかった。
 何故パーシーが、進路について口を出すのか分からなかったし、この部屋を囲む不協和音がクリスに気を許すなと告げていた。
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