第13章 【クソったれクリスマス】
「でも、ダンブルドアが間違っている可能性はないんですか?二重スパイだって言う可能性は?」
「ないだろう。いや、あったとしても私達はダンブルドアに従うだけだ。ダンブルドアが信用しているなら、私達もセブルスを信用する」
「でも!」
「それにセブルスは、私が教鞭をとっていた1年間、ずっとトリカブト系の脱狼薬を作ってくれた。それに感謝さえすれど、疑う余地はない」
ハリーはまだ何か言いたそうにしていたが、シリウス同様それ以上は何も言わなかった。
暫し沈黙が続く中、ロンがこんな質問をした。
「前にハリーが言ってたんだけど、マルフォイが『死喰い人』かもしれないって。その可能性はあるんですか?つまり、僕らと同じ未成年が『死喰い人』になる可能性は……」
「無い、とは言い切れない。寧ろセブルスが何かを聞き出そうとしていたってことは、ヴォルデモートに関連している可能性が高い」
ヴォルデモートと聞いて、クリスの体がピクッと反応した。
母様や父様、チャンドラーに続きドラコまでも利用しているのかと思うと、激しい怒りで自分の顔が歪むのが分かった。
今すぐこの場で、奴の首を絞め殺せたらどんなに楽か。クリスは白くなるまで両手をギュッと握り締めた。
「……さて、折角のクリスマスだ。もっと楽しい話をしよう」
「あっ、そう言えばね……」
先生がいつもの笑顔に戻ると、ハリーが「半純血のプリンス」の教科書について話を始めた。
その教科書のお陰で、今『魔法薬学』では学年トップなこと、それをハーマイオニーが嫉妬して「プリンス」を悪者扱いしていることなどを、ロンと一緒になって面白おかしく語った。
やがて夜も更け、帰る時間がやって来た。
折角久しぶりに先生の家にお邪魔したと言うのに、クリスにとってあまり幸せな時間とはいかなかった。そして更に、幸せから遠のく出来事がやって来た。
それは先生とシリウスが『隠れ穴』まで「姿現し」で送ると言った矢先の事だった。誰かが、先生の家の戸をノックした。
「リーマス、居るんでしょう?……話しがあるの」
それは明らかに女の声だった。その声を聴いた瞬間、クリスの表情が凍った。
「さっ、さあ!もう帰らなくては、私がモリーに怒られてしまう」
「待っ……シリウス!!」