第13章 【クソったれクリスマス】
そして満を持して迎えたディナータイム、お気に入りのコロンをつけてルーピン先生の訪問を待っていると、不意に玄関のベルが鳴った。
クリスは反射的に背筋を伸ばし、飛び跳ねる心臓を押さえながら振り向くと、そこには愛しいルーピン先生の姿があった。
「ル、ルルルーピ――」
「やあ、私の可愛いステディ!メリー・クリスマス!!」
「……シ、シリウス?」
目の前が突然真っ暗になったと思った次の瞬間には、既にシリウスの腕の中だった。密着したシリウスから、微かにお酒の匂いがする。
どうもクリスマスだからって、また人一倍浮かれてお酒を飲んだらしい。
「シリウス酔ってるだろう、お酒臭いんだが」
「そうかい?少ししか飲んでいないんだが……」
「メリー・クリスマス、モリー。お邪魔させてもらうよ」
「メリー・クリスマス、リーマス。……シリウスも、そろそろクリスを放してあげて」
ウィーズリーおばさんに言われて、シリウスはやっとクリスを解放した。
クリスは改めてルーピン先生にクリスマスの挨拶をしようとしたら、既に先生はテーブルに着席し、ウィーズリーおじさんと話を始めていた。
その場は涙を飲み、次の機会をうかがったクリスだったが、ある時はビルと、またある時は双子と、そしてまたある時はジニーと話をしていて、結局ルーピン先生に話しかけるチャンスは巡ってこなかった。
ディナーが終わると、ウィーズリーおばさんはラジオをかけた。少しムーディな音楽が流れ、いかにもな雰囲気がリビングに広がる。
これぞ好機!と思ったクリスは早速この雰囲気に乗じて、先生と暫し2人っきりになろうとしたが、先生とシリウスはもう帰り支度を始めていた。
「それじゃあモリー、ごちそうさま」
「あら、2人とももう帰るの?」
「ああ、任務があるからね」
「凄く楽しかったよ、誘ってくれてありがとう」
折角のチャンスなのに、結局ルーピン先生とろくに話す事ができなかった。また、このまま何もない1年を過ごすのか――否、今こそ攻める時だ!
そう決めたクリスは突貫覚悟でルーピン先生のもとへ行った。
「ルッ、ルルルルルーピンせせ先生!」
「ん?どうしたんだい、クリス」
「あああああのですね、じじじじつはおねっ、お願いが……」
「お願い?」