第3章 闇を統べる吸血鬼
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まだ、満月が出ていた。
少し肌寒かったけど、零さんが
上着を貸してくれてそれを羽織った。
「嬢ちゃん、気持ち良かったかえ?」
「………零さん、口調が違いませんか?」
「んー、昔の癖ってやつかのう。
見たところ、満足そうじゃったし良かった良かった」
全てを見透かす様な紅い瞳。
自信がある様に微笑む。
そんな零さんを見て顔を赤くしてしまった。
「おやおや、嬢ちゃん。真っ赤じゃよ。
そんなに良かったならワシも頑張った甲斐が
あるってもんじゃよ」
「………零さん、また、その……
シてくれますか?」
「……あんまり可愛い事言うなよ。
照れるじゃねえかよ」
「口調が変わるのはどういう条件なんですか!
なんか変に恥ずかしくなるんですけど!」
「そんな事言っても……あ、あんず」
「……はい?」
「好きだよ、あんずは?」
「……………私も……好き、です」
また空を見上げれば私達を祝福している様に
輝く星、見た頃から光が変わらない満月がいた。
end