第3章 闇を統べる吸血鬼
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「あんずの嬢ちゃん、こっちじゃよ」
こいやこいやと手招きをされる。
今日は零さんと学院で夜のお散歩。
『ダメじゃ〜…吾輩…吸血鬼じゃから…』
そんな事を言っているのもあったし
その時の零さんは本当に瀕死の状態だった。
本当に日の光が弱いのか…!?
そう思って夜の散歩を決行した。
「……確かに、零さんは
昼間より夜の方がイキイキしてますね」
「まあ、吸血鬼じゃからな」
「そんな零さんに……ジャジャーン!
トマトジュースを作ってきましたよ!」
目を見開いて零さんが固まる。
そして涙目になりながらも口を開いた。
「皆、冷たいからのう………
嬢ちゃんの優しさで吾輩…泣きそう…」
そんなに皆冷たいのか…
少し零さんを不憫に思った。
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