第1章 お前のヒーロー☆
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「……………っついな……」
7月初め。
もうセミの鳴き声も聞こえる。
暑い夏の始まりである。
最近の中で今日は一際暑く、俺は
思わず机にうなだれていた。
「ははは…もりっちでもこの暑さには
敵わないよねえ…少し安心したよ…
もりっち、この暑さにも勝ちそうだもん」
後ろの席から聞こえた声の主は羽風薫。
羽風も暑い様で、うちわを仰いでいる。
「夏は好きなんだがな…
流石にこの暑さには参ってしまうな」
「夏だから仕方ないけどここんところ
毎日暑すぎない?もりっちがやられてるから
心配だよ、熱中症なんじゃないってさ」
「なんだ羽風!心配してくれているのか!?
なんて優しいんだ、俺は嬉しい!」
そう言って俺は羽風の近くに行き
羽風を抱きしめた。
「うっわ、やめてよもりっち!
暑いし男には抱きしめられたくないの!」
そんなふざけ合ってる時に
あ、と羽風は何かを思い出したかの様に
声を漏らした。
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