第2章 ゆるキャラ先輩
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「翠くん、見てこれ!可愛いよ!」
目の前にいる彼女は
学院では凄腕のプロデューサー。
俺の前ではゆるキャラをみて
俺と一緒にはしゃげる可愛い人。
そんな先輩が持っていたのは
手抜きとしか言いようがない様な
トマトに目と口が付いただけの物だった。
「………すっごい可愛いですね!
さすが先輩、分かってる!
この口とか凄く可愛い…癒される…」
「…あ、ちょっと待ってて」
「え?」
待ってて、と言って何かを持って
レジに向かって行ってしまった。
にしてもこのトマト、良いな。
ゆるキャラがどんなものか
分かっている佇まい、只者じゃないな。
そんな手抜きトマトに関心していると
先輩は少し顔を赤らめて帰ってきた。
その手には小さな紙袋を持っていた。
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