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第6章 「レディース総長とロン毛隊長」
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話は現実から過去へと戻り、傷だらけのは血なまぐさい唾液を地面に吐き捨てる。
「肩貸すぜ」
「いい…」
「遠慮すんなって」
「気安く触んな」
思わず安心して尻ペタをつけてしまった。
立ち続けるのがしんどかったからだ。
小鹿のように震える膝にイラ付きつつ、これ以上弱みを見せたくないは気力でどうにか立ち上がる。
少し離れた所にあった食べ損なったチョコチップクッキーの袋に手を伸ばす。
「あ…」
「これの?」
足を引きずるよりもピンピンしている に拾われ、袋の中身を覗かれる。
「粉々だな。あーん」
「な!?てめッ」
食べ損なったチョコチップクッキーは道路にも散乱していた。
流石にそれは汚くて拾い食いしたくない。
わずかにでも袋に残っていればと思ったのだが、108円の残骸を は袋を逆さまにして口の中に放り込んでしまった。
「久々に食ったけど美味ぇな、コレ」
「てめぇ…っ」
きゅる、ぎゅるるる…
残骸だけど美味そうに食いやがって。
腹立つ気持ちとは裏腹に緊張が失せた腹から情けない音が響き、ひんしゅくする。
「俺んちそこの団地なんだ。手当してやるよ」
は口には出さなかったが口元が笑っている。
人の情けない所をみて笑われた惨めさ。
けれど、見下しもバカにもしない温かさを感じて、キュゥンンッ…と心臓が慣れない心拍音を鳴らす。