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第6章 「レディース総長とロン毛隊長」


 暴走族の不良集団になったキッカケは周りと同じように家に居場所がなかったからだ。
 気付けば自分がレディースの総長となった。

「らっしゃいやっせー」

 深夜2時。
 小腹が空いてチョコチップクッキーが食べたくなったのでコンビニで目当てのブツを手に入れる。

「108円です。2円のお釣りです。ありがとうござっしたー」

 コンビニを出ると待ち切れず開封。

「この匂いっ……サイッコーに、嫌な気分になりそうだ」

 目の前には特攻服を着た多数の集団。
 大袈裟にも腫れた顔に絆創膏を張った女が一人。
 よりにもよって仲間がいない状況で囲まれてしまった。

「 さん!!あの女です!!」

「テメェが の総長だな?よくも可愛い後輩ちゃんをブサイクにしやがって。覚悟できてんのかコラぁ!!」

「誰だ?可愛いがってる後輩ちゃんならディスっちゃダメでしょ」

「この人はレディース"迦羅不瑠"の総長さ!!あたいらに逆らったテメェはもうお終いさ!!」

 サイアクだ。
 だからといって背を向けて逃げることもできず、横目で木刀を持った一人を確認する。

「ナメやがって。まずはキッチリ挨拶の仕方を叩き込んでやるよ」

「はあ?誰がアンタらみてーなザコに頭下げるかよ。ダッサ」

「ンだとコラぁ!!やっちまいな!!」

 一振り交わして蹴りを入れれば、反対方向から反撃を食らう。

「おらァ!!」

「ッ゛」

 リンチは胸クソ悪い気分だ。
 でも空腹で吐き出すものがなくある意味助かった。
 あの絆創膏の女は、最初に喧嘩を吹っかけてきた他校の不良女子。
 ボコられたその腹いせというワケか。

 くそッ

 殴られすぎて腕が痺れて上がらなくなった。
 倒れたら負けだ。
 足腰の力は絶対に抜けず、視界と頭がぼんやりする気力との勝負で殴る蹴る引っ張り回すのリンチに耐える。

「貸せ。二度とそのツラで歩けなくしてやる」

「───」

 まずい。
 木刀はヤバイ。
 あれで殴られたら……

「その辺にしとけよ」

「「「 !!!!! 」」」

 骨折を覚悟した瞬間、救世主とも思われる同じ年代くらいのロン毛男が振り翳そうとした木刀を素手で受け止めていた。
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