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第5章 「まともなお兄ちゃんだと思っていた性癖異常について」


「っ…やだよぉ」

 お兄ちゃんは異常だけどまともだ。
 まともなことを言ってるけど突っ走っている。
 が知らず知らず傷付けていたから。

  は距離を置くことで終止符を打とうとしている。

「や…だぁ…っ」

 は涙しながら否定した。
  は悟ったように平常心を崩さなかった。

「別に死にに行くわけじゃねえよ。正月とか誕生日とかなんかイベントがあれば帰ってくるし、長男坊として役割が」

「やだぁ…っ」

「駄々こねんな。言っとくけどな、俺の性癖は異常だが普通の男だ。暫く俺の脳内は"好きな女"のはだかが無限再生されるだろう。勉強してる時もだ。飯食ってる時も、トイレで糞してる時も暫く悶々としている。これが俺の現実、もうとっくに幻滅してんだろ。…──理想の兄貴はもうどこにもいないんだよ」

「やだ」

「人の話聞けや」

「聞いてるからやだって言ったの」

「嘘泣きしやがって…。俺の心はもうズタボロなの。苺のアイス買ってきたからこの話は終いだ」

「終わりじゃない」

「終わりにさせろ」

「人の話聞いてないのそっちじゃん!!チンコ勃ってる!!」

「ッ~」

 はバスタブから体を出した。
 どんなに理屈を並べても の体は折れていない。

「───」

 勢いよく飛び出したはタイルで足を滑らせた。
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