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第4章 「寡黙な夫の下半身」


 朝7時に起きてご飯支度。

 夫と子供のお弁当を作って、寝ぼけた子供達を起こしにかかる。

「ほら。早く起きないと遅刻するぞ~」

「ふぁーい」

 欠伸だか返事だか分からない伸びた声。
  は隙のないネクタイを締め、硬派な髪型をして寝室から出てきたところだった。

 結婚して七年。

 スーツもネクタイも靴下も下着もみんな全部が選んだものを身に付けている。
 それでも格好良い。
 イケメンだし、スタイルも良いし、年の割に若々しくて今でも見惚れてしまう。

「この靴下やだぁー」

「今日はこの靴下の日じゃないの?どれにする?」

「うーん…。キリンさんのがいいの!」

「それはまだお洗濯カゴにあるなぁ。このバナナのなんて言うんだっけ?」

「ミニオン!ママ、また忘れたの?ミニオンはバナナが好きだけどバナナじゃないんだよ。ミニオンはバナナから生まれたんじゃなくて海から出てきた生き物なんだよ」

 下の子は最近ワガママがひどくなった。
 キリンさんの靴下の話題から一度離れ、気分屋の下の子は別の靴下を履いていくことに決まる。

 居間に戻ると食事を終えた が洗い物をしてくれていた。

「ありがと」

「ん」

 そろそろ夫が仕事に出ていく時間になって玄関前で見送る。

「それじゃあ気を付けて。いってらっしゃい」

「うん」

 寡黙な夫。
 時々何を考えているか分からない部分もあるけれど、それは誰だって同じ。
  は家族のことを一番に考えていてくれる私の最高の夫だ。



Fin.
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