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第12章 「オレは男だ!!~このまま拉致ってレイプしてやろっか?~」


 病院を訪問し、との距離を大切に丁寧に縮めていく。
 は以前のように軽快に話せなくなっていた。

 医師から病院での様子を定期的に尋ねに行った。
 幻聴や幻覚、フラッシュバックに襲われることもあり、定期的に薬を内服していることを告げられた。
 時には管理下を超えて抑制が効かないこともあり、隔離して、身体的拘束をすることがあった日は電話が鳴った。

「明日、退院日だな」

「今日?」

「あした」

「明日も来るの?」

「を迎えにな」

「明日かぁ…」

「明日都合悪ぃの?」

「今日がいい」

「俺からも先生に頼んでみるけど、色々準備とかあるからな」

「準備?」

「書類の準備とか色々。退院できて嬉しいな」

「嬉しいの?」

「俺は嬉しい。とずっと一緒に居られるから」

「ずっと?」

「ああ。の帰る家は俺ん家だぞ」

「 の?」

「そう約束したろ?も俺もそうしたいって」

「そうだっけ?」

「おい…」

「えへへへ。うそ」

「このやろう」

「へへへ」

 の祖父のところにも事情を話しにいった。
 認知だから顔を合わせるたびに話しが食い違わないこともあったりしたけど、最後は「あの子はもう一人だから頼んだぞ」と同じ言葉で託してくれた。

 は目を合わせて笑えるようになった。

 今後、の面倒は俺が見続ける。

「」

「なぁに?」

「退院したらなに食いたい?」

「うーん」

「なんでもいいぞ」

「うーん。ケーキ!」

「がよく食べてるロールケーキ?」

「うんっ」

「安い女だな」

「 と食べたい」

「分かった。コンビニ寄ってついでに買っていくか」

「うんっ」

 が自分をみて、怖がらなかったのが予想以上に嬉しかった。
 今までの男っぽいとは真逆になってしまったけれど、を優先して愛していく自信があった。

「。ずっと俺の"女"でいろよ」

 恥骨に入れられたタトゥーは一生消えない。
 黒く塗りつぶす気もない。
 はもう誰の手にも触らせねぇから。



Fin.
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