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第11章 「オレは男だ!!~最初で最後の俺の女になってくれ~」


 小学校中間まで背も力も喧嘩の強さも男より勝っていた。
 けれどいつからかハッキリと現実を思い知らされ、男にも女にも成り切れない自分のことが好きでなくなっていた。

「」

「あンだよ」

「""やめろ」

「………は?」

 ガタガタと回る換気扇。
 埃っぽいニオイのする薄暗い溜まり場。
 台の上に座って、つい先ほど袋叩きにされた体に包帯を巻いてくれている は突然そんなことを言い出した。

 相手の真意を確かめようと の瞳孔をジッと探るも、無言の威圧に耐えかねての方から口を開いた。

「やめろとか意味わかんねぇし」

「お前は"女"だ。この先邪魔になる」

「チッ!オレは男だ!!足手纏いなんかになんねぇ!!つうか、オレより弱ぇ奴ゴロゴロいんじゃねぇか!!」

「喧嘩の良し悪しじゃねーんだよ。女だからやめろって言ってる」

「オレは女じゃねぇ!!」

「お前が女だと思ってなくてもこっちがそう見えてんだよ。現にそれで狙われた。刈り上げようが何しようが、お前は女だ。やめて俺の"女"になれ」

「はっ………?」

 女だからやめろ?
 俺の女になれ?
 鉄砲玉を食らった気分からクツクツと笑いが込み上げて、は噴き出したように大きな笑い声をあげた。

「ぷはっ!あははははっ!!目ぇ腐ってんじゃねぇのかぁ?俺の女になれぇ…?誰に向かって言ってんだよ!!あはははは!!腹痛ぇ!!」

 目が腐ってる。
 だってオカシイだろ?
  は男なのにオトコに告白してるんだ。
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