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第10章 「トリップしたら異世界エジプト王宮だった」



「えっ………?」

 玄関でパンプスを脱ごうとしたら突然まばゆい光りに包まれた。

 目の当たりにするのは見覚えのない景色。
 日本とは思えないカラッとした空気。
 真っ赤に揺れるタイマツ。

「ついに……遂に成功したぞ!!!」

 舞台で耳にするような途轍もなく良い声が下っ腹までズクンっと響く。
 タイマツがあるが実は暗くてよく見えていない。
 レザーサンダルで歩くような足音がどんどん近付いてくる。
 姿かたちは人間…の、男。

 白い外套の下には金色の装備、褐色の肌、宝石のようなエメラルドグリーンの瞳を持った男がの手を引き寄せ、饒舌な日本語を口にする。

「待っていたぞ。我が愛しの花嫁よ」

(花…嫁…?)

「我が名はエジプト・ 帝国第一王子、 四世。貴様のことはなんでも知っている。。ずっと貴様を探していた」

「……!!」

 そう言って は美しい瞳を伏せて手の甲に口付けを落とす。
 突然現れた褐色翠眼のイケメンにお姫様扱いされ、カーッと顔に火が付いたように熱くなる。
 人は驚き過ぎると声が出ないものだ。

「夜は肌寒いだろう。俺達の寝室へ案内しよう」

「っ、へ…わぁ…?!」

 背丈は180センチ前後。
 細マッチョなのにいとも簡単に持ち上げられ、お姫様抱っこのまま王宮内を進んでいく。

(ここは何処!?エジプトって言ってなかった!?なんで!?さっきまで家に居たじゃん!!なんで私のこと知ってるの!?なんでこんな所にいるの!?飛ばされた!?夢か!!そうだ、これはきっと夢に違いない……!!)
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