第9章 「初めての海外旅行！inフランス」

「わぁ…！」

　ずっと夢見てた海外旅行。
　目にするものすべてが新鮮そのもの。
　アルファベットは何も頭に入ってこないが、大きめの数字と中国語っぽい漢字が目に入ると急に母国が恋しくなった。

　言葉の壁があって諦めていたが親友のおかげで念願の夢が叶い、パリ国際空港内を歩いていた。

「すごい！！やばい！！震えが止まらないよ！！」

「分かったから服引っ張んな。荷物全部持ったね？」

「うんっ！この2つだから大丈夫！　ちゃん先行っちゃダメだよっ！絶対置いてかないでねっ！」

「はいはい。一人にしたら死んじゃうからね。とりあえずこの道まっすぐだから」

　壊滅的な英語力。
　海外に行きたいと口にするもスキルアップする気なし。
　と　は小学校の頃の腐れ縁で二人で国内旅行を楽しんでいたが、頭の良い　がリードする形で海外旅行の計画が実行された。

「初・海外旅行がパリだなんてオシャレだねー！」

「ハワイやグアムもいいけど、そっちはハネムーンの時にしたいしと初は御免だね」

「も～　ちゃんのいけずっ！今日はいっぱい写真撮りまくるぞぉ！あぁーみてみて！空の色ぜんぜん違う！」

「外出たらもっと違うから。だから服引っ張んなって…ったく」

　そんなこと言いつつ　も楽しんだ顔を向けてくれる。
　　が入れば怖くない。
　　が入れば百人力。

　大きな空港からようやく抜け出し、パリの青空の下で大きく息を吸い込んだ。