第9章 Sketch3 --また冬に会おう※
「…………まず、設計図、を描くんだ」
「ありがとう。そんな風に基本的な概要を話して欲しい。手を動かすのは後からする。その方が俺には早い」
そしてケリーは私の話を聞きながら私の頭の上でふんふんと頷きいくつかの質問をしつつ、それを咀嚼していった。
一つ言うと三つ先の疑問を投げてくる。
まともな私なら構わないのだが、こんな状態でこんな話が出来る奴はここにも人の世界にも滅多に居ないだろう。
「どうした? 木目の内側まで彫り込むのはタブーと言う話まで聞いたが」
「そう……最後の仕上げの時に、折れやすくなる、からだ」
「浮き彫りの側面は外側に向けて斜めにするといいんだな」
「そう、だ」
淡々と話しているだけにも関わらず、こっちはどうも息が上手くできない。
そしてどうでもいいが、こいつのはなんで全く萎えないんだ。
「少し動く」
「…ッん!」
彼が動いた時にぬる、と内部が動きケリーが手に掴んだシーツを引き寄せた際それがぐぶ、と奥を挫いて根元まで収まった。
生理的なものかも知れないが萎えない、というか枯れないのはこちらもそうらしい。
「風邪をひくといけないからな」
そう言ってふわりと私の体にそれを巻き付けた。