第8章 Sketch2 --楽園
「ミーシャも大人の女性になったんだな」
「うん……ねえ、お兄ちゃん」
ミーシャは目の前の、これも彼女に負けず美しい青年を見詰めた。
高い鼻梁に、陽に透ける金色の眉とまつ毛。
彼を見るたびに胸が高鳴る。
これまで、なんで気付かなかったのかな。
「……約束。 ちゃんと、そうなったらって」
彼女の髪に触れていたリュカの手がミーシャの背中を通って腰に移動した。
そのまま出窓に腰掛けている自分の膝の上に乗せて抱き寄せる。
「ミーシャ。 俺たちもっと家族になろう」
「……もっと?」
「子供が欲しい。 俺とミーシャの」
ピンク色の彼女の頬がこれまでで一番赤くなる。
「俺たちは兄弟で夫婦になる。 だって俺、ミーシャと離れたくないよ……嫌?」
「……嫌じゃ、ないよ」
声が小さくなったのは、リュカの手がミーシャのスカートの布地を割り始めたから。
どうしよう。
嬉しいのに胸が苦しい。
リュカとの赤ちゃん。
突然そう言われて驚いたが、男女が結ばれて子供を授かる。
彼女にとってそれは至極自然でいてとても崇高な事の様に思えた。