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SketchBook【R18】

第6章 Sketch2 --解呪




「ミーシャ? どうしたんだい。最近はどうも調子が悪そうだ」


ドアを細く空けてからコンコン、とノックするのはミーシャの父親、ダリルの癖だった。


「お父さん」

「顔色がよくないな。 夕食も残してたろう」


魔法学者の父。

母さんに淹れてもらった、とダリルは両手に持っていた紅茶のカップの一つをミーシャに手渡した。
一人用のソファを運んできて彼女の向かい側に腰を掛ける。


「ありがとう」


ミルクがたっぷり入れられたそれに口をつけ、ミーシャはほっと息をついた。
両手を暖めながら、彼女がじっとダリルの顔を見詰めた。

お父さんなら。


「ん?」


お父さんなら、呪いを解く方法を知っているかも知れない。

大丈夫か? ダリルがぼんやりとしている娘を心配そうに覗き込んだ。

髪も瞳も闇の色。
こんな外見をしていても、お父さんは清涼な深緑の心を持っている。


ミーシャは父親が好きだった。

こんな事をリュカにされたと知ったら、お父さんはがっかりするだろう。

それなら、お兄ちゃんの名前を出さなければいい?


「あの、お父さん……」

「なんだい? 言ってごらん」


ミーシャがおもむろに父に手渡したのは、毎朝シーツに落ちているあの赤紫色の石の欠片だった。
捨ててしまいたかったがそうも出来ず、結局全て手元に取ってある。


「お父さん、これが何か分かる?」



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