第6章 Sketch2 --解呪
解呪。
かけられた術を元に戻すこと。
きっとこの自分の中の水晶さえ、無かったら。
そしたら自分の生活も元に戻れる。
ミーシャは毎日街の一番大きな図書館に通い、その方法を調べた。
昨晩はある屋敷の主人に買われ、馬を打つ鞭で何度も叩かれた。
その前はあばら家に連れ込まれ、複数人の男性に弄ばれた。
「精霊魔法……違う、これじゃない。 これは、何語だろう? まだ私には読めないな。 単語ぐらいなら…召喚……? ううん、これも違う」
だが呪いの類の文献は悪用の恐れがあるため、それを探し出す事は難しかった。
棚から引っ張り出した何冊もの分厚い本を積み上げてため息をつく。
そもそもそんなものは誰にでも使えるわけでもない。
近頃は眠る事が怖くなり、ほんの少ししか睡眠を取らなくなった。
自室の椅子に腰を掛け、自分の寝床を眺めた。
ベッドに入って横になりたい。
「でも……」
眠りたくない───────