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SketchBook【R18】

第5章 Sketch2 --苦悩



ミーシャには兄のリュカこそが悪魔の化身か何かにしか見えなかった。



彼女は兄に比べればパッとしない子供だったが、物事の真実を見抜く目を持っていた。

目を凝らすと薄ぼんやりとその本質が彼女には見えたのだ。


他人に隠れて動物を殺す。
平気で人を騙し、罪を被せる。

リュカは漆黒の暗さをその身にまとう人間だった。



あの夜。

妹の部屋を訪問した彼は突然ベッドの上に彼女を倒した。
ミーシャの動きを封じるために彼女の上に跨り、手のひらの石を転がしながら彼が話した。
何でこんな事を、そう抗議しかけるミーシャに向かって。


『お前が俺の事をどう見てるのか、知ってるよ─────』



彼女は嫌悪もあらわに自分の下腹に手を当てた。


赤紫色に鈍く光っていた、六角錐の水晶。

それがひと月前の夜、リュカが彼女に唱えた呪いによりミーシャの胎内に吸収された。

夜毎ミーシャがうなされ、酷く淫らな夢に悩まされる様になったのはそのためだ。



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