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SketchBook【R18】

第5章 Sketch2 --苦悩



「……オスの匂いがする」


すれ違いざまにリュカがぼそりとそんな事を呟いた。
ミーシャは立ち止まって兄を見上げた。


「…お…兄ちゃ、なんで、私にあんな」

「なあ、お前が誰とやったか分かるか?」


彼はミーシャの夢の事を知っている。


「……あ、あれは現実なんかじゃない」

「お前はな、悪魔に見初められたんだ」


「──────」

「ヤツらはそん時に、自分好みの外見になるそうだよ。 相手はいっつも同じ男なの?」


ミーシャが黙って唇を噛んでいるとリュカがへえ、とでも言いたげに眉を上げた。


「……はっ。毎度違う男に腰振ってんのか。 そんなに楽しんでるんならせいぜい俺に感謝しろよな」


毎晩悪夢をミーシャに見せるのは彼の仕業だった。


16歳ともなると、年頃の女性はみな彼を振り向いて見る。
そして礼儀正しく親切だった。


あくまでその外側は。



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