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SketchBook【R18】

第5章 Sketch2 --苦悩



ぼんやりとした頭を抱えたまま、彼女は二階から階下へとつながる踊り場を歩く。

階段の途中にある窓の外に目をやると、まだ明け方になったばかりのようだった。


『とある家柄の出でさ』


ミーシャの家は国の中でも高名な魔法学者である父を持つ家系である。


悪夢で目が覚めたミーシャは喉がカラカラで、キッチンへ水を飲みに向かっていた。


「ミーシャ、どうした? 青い顔をして」


その声に飛び上がると、四つ違いの兄、リュカが水を入れたグラスを手に、廊下の向こうから歩いてくる所だった。

俯いていたせいで気付かなかった。


昔幼い彼が微笑むと、大人たちはその愛らしさに目尻を下げた。
自然学も、薬草学の成績もいつも一番で。

けれどいつからか、ミーシャは兄のその視線を怖いと思うようになっていた。



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