第5章 Sketch2 --苦悩
「────はあっ」
ミーシャが飛び起きると、そこは彼女がよく見知った部屋の中だった。
「はっ…はあ…」
全身がじっとりと汗ばみ、心臓がどくどくと鳴っている。
脚に掛かっている毛布を捲りあげると粗相をした様にそこが湿っていた。
下着に手を滑らせ白くどろりとした液が指先にまとわりつく。
それに混ざる、赤紫の小さな欠片がぬめり光っていた。
「あ、ああ……神様、お許し下さい」
ミーシャは両手のひらを顔に当てて俯き、罪を償う言葉を呟いた。
夢なのか現実なのかがわからない。
夢ならば、なぜこんなに生々しく恐ろしいの。
自分の肌の、この全身を舐められた様な感触はなんなの。
現実ならば、なぜ覚めるの。
なぜ自分の体は男性を知らないままなの。