第3章 【第1章】嵐の前の静けさ Day1
******
片付けの後、女子会メンバー達が外に出る。
葵はううーんと身体を伸ばす。
リボン作りは先行して杠がまずは10枚程度、作ってくれる様だ。そして明日染色でまた集まる事になる。
明日の集合場所がどうこう、と軽く雑談をする。
すると「おおっ!!丁度いいな!!終わったようだぞーー!!羽京!!!たまに顔出しに来たかいがあったな!!」
滅茶苦茶余計な事を言ってる大樹と、深刻そうな表情でやって来る羽京の姿が見えた。位置はかなり遠いが、これでも羽京の耳なら自分達の会話位聴こえるだろう。
羽京の事だ、休憩はそこそこに大樹は聞こえないが自分は聞こえる距離で話を『聴きに』一度は来るはずだ。
だが大樹の大きな話し声は、格好の『耳眩し』である。仮に一度黙らせたとして、何か思わず大樹が口走るような事があれば、直ぐにこちら側が気付く。
監視役として、結局超遠距離で大樹の方を見張るしかなかったのだろう。そして女子会が終わったら迎える、という名目で定期的に来るーー
そんな所か。
「あっ、羽京君。休憩どうでした?少しは休めました~?」
「あはは、お陰様で。」葵に合わせて笑う羽京と、それを厳しい眼差しでニッキーが見ている。
つかつかと羽京の元に行くと羽京!!とビックリする様な大きな声で叫ぶ。
「えっ、何!?」
「アンタ!!あんまり葵をいじめんじゃないよ!!っていうか女子会の邪魔するんじゃないよ!!」
おぅふ。作り声では無い感嘆の声が漏れた。
慌ててフォローに入ろうとするも、大樹!!と今度は大樹に大声を上げている。
「ん!俺か!」
「アンタしか居ないだろう!?杠には言ったから、アンタにも言わないとフェアじゃないから言っとく!アタシはね、アンタと杠の監視役だ!何か変な動きはないか?誰かと密会しないか?!そういうのを見てるんだ!司は言うなって言うかもだけど、分かってんだろ!」
「おお、そうだったのか!!」
分かってないじゃん!!心中でツッコミを入れた。
「アンタ、あんまり驚かないね…?」
「ああ!すまん!!そういうのはあまり詳しくないんだ!!」
「そういう問題じゃないんだけどね…。まあとにかく、今後も監視はする!ただし二人とも!」
ビシッ!と羽京と大樹に指を指すニッキー。