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僕と彼女の声帯心理戦争

第3章 【第1章】嵐の前の静けさ Day1


「それと…葵。アンタが、本当は司に選ばれて無いのも……アンタに監視が付いてるのも、知ってた……!!」
ニッキーがギュッ、と拳を握りしめる。

「にっ、きーちゃ…」驚いた声で呟く。

「……私は、司側の人間だ。アンタら2人と大樹には、『科学王国』のスパイの可能性があるから、監視役が付いてる」

「………っ」息を飲む声を出す。

「アンタに付いてるのは羽京だ、葵。最初に倒れてたアンタを助けたのは羽京だけど、アンタを見張ってたのもーー羽京だ」
「羽京君が、そんな…」杠が掠れた声を出す。

杠ちゃんからしたら私は明らか科学王国の人間では無いと断言出来る存在だ。驚くのも無理は無い。
私は黙って俯く。

「そう、だよね……」
「……!?知ってたのかい!?」落ち着いている葵の様子にニッキーが驚く。

「……薄々ね。科学王国の事は帝国の人達から襲撃したとか、戦争するとか…そういうの聞いてたし。最初は、助けてくれたからお世話してくれるのかな、って思ってたけど……やっぱりそう、なんだね…」ほろりと左目から涙を流す。

「……本当に、済まない。言わない方が…「ううん!!」
ビクリと他の2人が驚く。

「ハッキリした方が、モヤモヤしなくて良いし。……ありがとう、ニッキーちゃん。本当は、こういうの言っちゃ駄目なんだよね?」
「…司は、そう言うだろうけどね。でもアタシらは」

そこで言葉を区切り、フッとニッキーが笑う。
「アタシらは司とは別の人間だからね。個人的な所は関係ないさ!監視役は……申し訳ないけど、仕事だから続けるしかない。本当に済まない、杠……」
「ううん!大丈夫だから!」杠がそう気丈に笑って見せる。

「…あの、ニッキーちゃん」
「?なんだい」
「監視役の人って、一緒に居て、様子を見てたらいいのかな……?」
「まあ、そうだね」

「例えばなんだけど…今、その……たまたまだけど、大樹君を羽京君が監視してるみたいな感じだよね…?」

「「!!」」

「これなら、監視自体は継続してるし……時々、こうやって3人だけで集まって、色々喋ったり、……また出来ないかな?女子会」

「……そうだね」ニッキーが頷く。
「司や羽京にも話を通さないといけないけど……でも、やるよ!」

「本当!?」お得意技のパアッを披露する。
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