第3章 【第1章】嵐の前の静けさ Day1
「そうだ。ニッキーちゃん、例えばなんですけど~」少し顔をググイと近づける。な、なんだい?と頬を赤らめるニッキー。
「リクエストした人の立場だと、ライブの時どんな曲順で歌った方がいいですかね~?」
「どんなって?」「えっと、リクエストした人が複数居たとして~、どういう風に順番決めたらいいのかとか、1人何回リクエスト出来るかとか…」
「……みんなのリクエストを平等に聞く、ってことかな?」場を和ませていた葵が珍しく言葉に詰まっていたからか。助け舟の様に、杠が声を挙げた。
(ナイス助け舟、杠ちゃん!!そういうの待ってた!)
心の中でガッツポーズ。顔には出さずに「そんな感じなのです!」とパアッと顔を明るくさせる。
「なるほどねぇ、確かにアンタのファンはそれこそ山のようにいるからねえ。その辺はきっちりしておかないと、後が大変かもね」
「やっぱりそうですよね…」むむーん、と考えこむ主人公。
「私、ライブとかやった事無いから分からないんです~。……さっき言ったみたいに、10周年記念ライブの為に勉強はしてるんですけど、経験が無いので…」
「そうか、それなら確かに悩むね」ニッキーが同情する。
「取り敢えずだけど、リクエスト順にしたらどうだい?」「なるほど、リクエスト日時が古い所からですな!……あ、でもリクエストを1度に沢山貰ったら…」「それもそうだね…」
同じリクエストした人の曲ばかり歌う事になる。
ニッキーとううーーんと悩んでいると、あのーと杠。
「……リクエストした人の名前も一緒に書いて、歌い終えた部分は消すとか、どうかな?それで平等に順繰りにするとか…」
「わ、それいいかもです!ありがとです!」杠の手をぎゅ、と握る。
「わぁお…!後、ファングッズみたいな感じのも作ったらいいんじゃないかな…?」
「「ファングッズ…!?」」
「うんとね、具体的にはファングッズを作っておいて、リクエスト曲を歌い終わったらそのリクエストした人に渡すっていうか……」
「なるほど、それならリクエストに応えたかどうか分かりやすいね!杠、アンタやるじゃないか!私もそういうグッズあったら嬉しいよ!」
「わっ、いえいえ…!」
ヨッシャアアアアアアア!!!!!
心の中でガッツポーズを思わずする。これで2人の距離が大分縮まったぜ!!
