【ヘタリア】魔法少女×枢軸×連合=カオス【APH】
第3章 仲間になった味方がヤンデレに見えるのは気のせいですか
「やだなぁ、ヒロインが結ばれるのはヒーローに決まってるじゃん」
「わっ!?」
ふいに背中が温かくなる。
案の定、フェリちゃんに背後から抱きしめられていた。
いつものほんわかした笑顔が、肩越しに覗いている。
その手にましますは金色のくじ。
――すなわち“ヒーロー”の証、である。
なんというか、くじ引きの意味……
「だよね!」
「あ、はい……」
曖昧に微笑すると、フェリちゃんがえへへーと可愛らしく頬を緩めた。
憤然として声をあげたのは、無論アルだ。
当然のように口論が始まる。
といっても、アルが一人で駄々をこねている、ともいえる。
フェリちゃんはのらりくらりとかわしていたからだ。
「そんなに言うならさ」
柔らかい微笑の中へ、唐突に悪魔的な影が落ちた。
右から首に腕をまわされる。
「ちょっ――!」
非常に顔が近い。
というか、後ろから抱きつかれたさっきより、密着面積が多いような気がしてならない。
動けずにいると、耳たぶにフェリちゃんの吐息がかかる。
彼の髪、いや体から正体不明の甘い香りがして、脳髄が痺れていくように思える。
「奪ってみなよ」
フェリちゃんの口元が、愉しげに弧を描いた。
細められた瞳は、その奥底で笑みを消してアルを真っ向から凝視していた。
絶対離さないとばかりに腕が首に絡みつく。
ますます動けなくなっていく。
その無音の迫力に呑まれたのか、アルは
「……ま、負けないんだぞ」
と言うのが精一杯のようだった。
「すてきな作品に仕上がるよう一生懸命手伝うであります!」
「……期待してるんだぞ」
どこかふてくされたようなアル。
そんなアルを微塵もかまわず、
「頑張ろうねっ!」
フェリちゃんの、にこーっと底抜けに無邪気な笑みに迫られる。
「は、はい……」
……家に帰りたい……。